RubyとOracle 報告者: 後藤裕蔵 日本オラクルの宮原徹さんによるRubyでOracleを使おうというお話で す。後半はRubyの普及プランへと続きます。 ○RubyとOracle これまでの開発環境の変遷を 第1世代: ホスト上でのCUI (SQL*Plus、SQL*Forms/Report Writer) 第2世代: Windowsとのクライアント/サーバ (Visual Basic + Oracle Object for OLE、Oracle Developer) 第3世代: Webの活用 (Oracle Application Server(CORBA)) と紹介し、PL/SQL、Java、C、COBOLそしてPerlといったさまざまな言 語/プラットホームに向けて、カートリッジが用意されているが、こ れがよいといった決定的な手法、手段が無いと指摘しました。ならば、 「Rubyでもいいぢゃん」ということで、吉田正人さん作のOracle7用 拡張モジュールv0.25が紹介されました。 この拡張モジュールはOracle7用ですが、Oracle8はほぼ完全に Oracle7の上位互換なので、これを使用して作成したアプリケーショ ンはOracle8でもそのまま使用できるそうです。 実際に、Oracle8 for Linux R8.0.5 + Ruby 1.4.0をVine Linuxにイ ンストールしてみたところ、問題なく動作したそうです。 今後の展開として、Oracle8専用機能の実装やPHP3を利用したデータ ベースアクセス機能のRuby本体への組み込みということがあげられま した。 その後、宮原さんいわくこのセッションの本題である、Rubyの普及プ ランの検討へと続きました。実際、こちらの時間の方が長く、宮原さ んの巧みな話術もあって非常に盛り上がりました。 ○Rubyの普及プラン o 入手の簡略化 まず、各種プラットホームでのインストールキットを整備する必要が あるということが、あげられました。 Windows環境では、標準のコマンドプロンプトは扱いづらいため、 Cygwin32のtelnetd + TeraTermという環境でRubyを使っているかたも 多いようです。これらのアプリケーションをまとめてインストールで きるパッケージがあるといい、まとめて配布するのにライセンス上問 題がなければインストールキットを作成してはどうか、Rubyだけのた めにインストールするにはCygwin32は大きすぎる、コーディングと実 行までの一連の作業を行えるアプリケーションがあればよい、という 意見が出ました。Windows版のPerlにもそういった開発環境はまだな いので、狙い目ではないかとのことです。 o ビジネスモデルに乗せる 会社を作り、ドキュメントや便利なライブラリを売る、ライセンスを 発行する(Ruby Enterprise Edition、ただし中身はフリーなものと同 じ)、セミナーを開く、といったことがあげられました。 ユーザサポートがないことを理由に業務用のアプリケーションの開発 にフリーソフトウェアを使用することを敬遠するケースが多いようで す。サポートの体制を整えるのは大変な作業ですが、使用料を払うこ とによって安心して使用できるユーザにアピールするのも重要です。 さらに、一般に広くアピールするためのキラーアプリケーションも必 要です。 また、Ruby/GTKやRuby/Tkを使った統合開発環境Visual Rubyを作る、 といったものもあげられました。 o イメージ戦略 アイコンやロゴタイプを作る。マスコットキャラクター(17歳、高校2 年生、メガネっ娘のRubyちゃん:-)だそうです)を作るといったものが あげられました。マスコットキャラクターについては賛否両論あるよ うです。(まつもとさんはあまり乗り気ではない様子...) 学校、教育機関に働きかけるといった話題では、書籍がないといった ことが取り上げられました。また、Rubyの入門書ではなく、プログラ ミングの入門書としてRubyを取り上げたものがあればいいのではない かという意見が出ました。