「私は root になって一年の新米です。 これから UNIX 修行に励むのに自宅に UNIX マシンを置きたいと思うのですが、 最低限使える UNIX はいくら位で構成できるのでしょうか ? 貧乏人の私のために是非調査をお願いします。」
依頼者は 20万円ならば出せるということなので、 20万円で構成できるUNIX システムについて調べました。
20万円での構成ということなんですが、やはり「もちはもち屋」ということ でワークステーションメーカさんに聞いてみました。 とにかく安く(100万円以下)、 しかしながらスタンドアローンで動くマシンをリストアップしましたが、 安くても70万円台。まだまだ貧乏人には手が出せません。
リース会社のリースバックや、最近では中古のワークステーションを扱って いるお店もあるということです。この辺のもの調査しました。
狙い目は、リース品の期限切れのものを中古品として販売してもらえるリー スバック品です。 SUN3/50M-P5なら何と63,000円!!このぐらいならディスクを 買ったりして使える程度にしても20万円でいけるのではないでしょうか?
最近では、IBM PC互換機やPC-9801をはじめとするパソコン用UNIXが結構出 てきています。 こいつについて調べてみました。
かなりの数のUNIXが出ています。 しかし、商用 UNIX の場合大抵 $1,000 ほどするため、 OS に 10万円以上も使うとマシンを買うのが難しくなってしまいます。 そこで、次はFreeもしくは安いUNIXの紹介です。
名称 | Base System | 価格($) |
---|---|---|
386BSD0.2 patchkit 0.2.3 | NET/2 | Free |
Linux 0.99pl.9 | SVR3(Subset) | Free |
NetBSD 0.8 | NET/2(386BSD0.1) | Free |
MINIX | V7 | 169 |
COHERENT | ? | 99.95 |
この辺になると20万円の構成では、まあまあ現実的でしょう。 お金もないことだし、Freeのものを利用しましょう。
PC-9801用のUNIXも数は減りますがそこそこ出ています。 やっぱり貧しい構成ということで、 ここではFreeもしくは手の届く程度のもの限って紹介します。
名称 | Base System | 価格(円) | 備考 |
---|---|---|---|
386BSD(98) | NET/2(PC用386BSD) | Free | X は現在動いていない |
Linux | SVR3(PC用Linux) | Free | 現在はαか? |
MINIX | V7 | 14,800 | |
PANIX | SVR4 | 48,000 | X11R5が動くがNetwork kitは別売 |
この他のパソコン用にも、いくつかのUNIXが出ています。 以下に列挙します。
もしも、手持ちのパソコン用の UNIX があるならば、 これらを利用することによって安価にUNIXを構成することも出来ます。 しかし、意地でも20万円で一から構成するということにこだわりたいので実際にやってみましょう。
新品のパソコンで構成するとなると、値段の点でIBM PC互換機にはかなわないでしょう。 出来るだけ出費を押えるために、ここでは UNIX は Freeのものを利用することにします。
UNIXを動かす場合の最小限のCPU、メモリ、ディスクの構成は以下のようになります。
CPU 386SX メモリ 2Mbyte ディスク 40Mbyte
しかし、最近では386を使ったマシンはほとんど無くなってきています。 それでも20万円以内ということであれば日本国内では386マシンになってしまい ます。
ディスプレイが14インチで5万円程度ですので、 マシンにかけられるお金は大体15万円ぐらいになります。 これぐらいの金額でいくと、DELLやPACKERDBELLの安いモデルで、 大体4Mbyteメモリーの100Mbyteハードディスクという構成のものを買うことが出来ます。 この程度のハードディスクがあれば、何とかUNIXのフルインストール(ソースなし)が出来るようです。 この程度の構成を行なうのならもっとも安いのは「マハポーシャMAHA386SX-25」が何とディスプレイ込みで145,000円という驚きのお値段です。
ちなみに既にお家でUNIXをしている人は、30万円程を投資して486DX程度で構成しているようです。 Xを動かしたいのであれば、最低でも100Mbyteのハードディスクと8Mbyteのメモリーは必要です(Linuxでbinary+カーネルソース)。 またディスプレーカードにも制約があります。 詳しくは、参考文献[1]を参考にして購入するマシンを決定して下さい。
国内ではこの程度ですが、香港やアメリカで買いものをするのであれば、 だいたい日本の半額程度でマシンを手に入れることが出来ます。 HI-TECH-USAの場合で日本での20万構成について計算してみると、 モニタも含めて大体$750ぐらいになります。 1$=110円で計算して見ると、なんと 82,500円!! 送料や消費税の合計はだいたい7万円ぐらいになるので、 それでもおつりが来てしまいます。
しかし、マシンと同程度の送料を払うのが馬鹿らしければ香港に旅行がてら行くという方法があります。 日本橋で出ている最低の往復+宿付のパックは53,000円ぐらいからということです。 マシンの値段もアメリカとそれほど変わらないので、 おつり分でうまい料理でも食べて… といいことずくめです:-)。 お値段の方は同程度の構成で、7,100香港ドル(1香港ドル=14円として99,400円) となります。 送ってもらう場合でも、ある店では「何でも250香港ドルでOKよ!!」といっていたらしいので安くつくかもしれません。
ちょっと脱線して、使いものになるシステムを考えてみます。 後々の拡張性を考えると、CPUは486DX(33MHz)でしょう。 マザーボードはPentiumも使えるものにした方が良いですね。 メモリーは4Mbyte×4の16Mbyte、ハードディスクは400Mbyteもあればとりあえずはいいでしょう。 UNIXではCD-ROMでソフトが配布されたり(jusのもあるし:-)するので、 SCSIも欲しいところですがディスクを増やす必要が出た時に入れれば良いでしょう。 ただし、恐ろしいこと(!?)をするつもりがあるのならバックアップのことも考えて最初からSCSIのものをつけた方が良いかも知れません。 Ethernetは、もちろん1台目には不要です。 後でつけましょう。 Xを使うならディスプレイカードはET4000を積んだものが良いようです。 特に漢字の表示をするなら、そこそこ早いようです。 VL-Busもあれば完璧です。 こんな感じで作ると… 高くなりそうですね。うーむ。
中古パソコンで構成するとなると、 PC-9801やDynabookが数が出ているだけにものもあって安く手に入れることが出来ます。 Freeの386BSDやLinuxを使うと最低構成は386SX以上になることは述べましたが、 MINIXなら8086から動かすことが出来る[4]そうです。 興味のある人はやってみましょう。 これなら恐ろしく安く構成できるはずです。
ではPC-9801とDynabookで考えていきましょう。
また、PC-9801では286を486にするためのボードを売っていますがあまり安 定しないことを考えれば、もともと386のマシンを買った方が良いようです。 値段もそれほど変わらないですし…
386BSD(98)では、メモリーは4Mbyte(最低構成で1.6Mbyte。使いものになるかは…)はあった方が良く、 ハードディスクは80MbyteでSRC01とBIN01がインストールできます。 これぐらいの構成をソフマップの価格で大雑把に計算してみると…
PC-9801RA21 129,800円 ディスプレイ (約)30,000円 ハードディスク(100Mbyte) (約)50,000円 2Mbyteメモリー(内蔵分と合わせて3.6Mbyte) (約)10,000円 合計 219,800円
と、若干オーバーしてしまいますが手が届くかなといったところです。 ついでに、ノートでやってみると、
PC-9801NS 102,800円 ハードディスク(100Mbyte) (約)50,000円 4Mbyteメモリー (約)20,000円 合計 172,800円
となってこっちなら20万円以内となります。大体、ディスプレイを買うことを 考えるとノートやラップトップの方が安くつきます。
中古でPC互換機ならば、数のあるDynabookがいいでしょう。 J3100SS001でMINIXを動かして楽しんでおられる方もいるようです。 安さを追求するとこいつが一番です。 なにしろ本体が4万円ぐらいですから。 例の最低構成ぐらいだとJ3100SX001(386SX,RAM:2MB)が約8万円、ハードディスクは新品の80Mbyteで約7万円で約15万円もあれば構成できるでしょう。 また、J3100SX001VW(386SX,RAM:2MB,VGA)を使ってXを動かしている人もいるようですがメモリーの増設やハードディスクをつけると意外と高くつくと思います。 ちなみに本体は14万円ぐらいからあります。
結局、安くあげようと思うと足と頭を使って頑張るしかないようです。
僕が見た感じでは、IBM PCの互換機で構成するのが一番良いように思います。 特にFreeのUNIXは、国産の機械に移植されるまでに時間がかかってしまいます。 386BSDやLinuxのパッチやバグ情報の飛び交うお祭り騒ぎを楽しみたい人はIBM PC互換機を選べば良いでしょう。 そのばあいは個人輸入に挑戦して見ると良いと思います。
もしあなたが、格安UNIXを構成したなら、 是非実践編として発表して下さい。
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